大阪府豊中市 千里中央の産婦人科・内科 田坂クリニック |
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| 子宮筋腫は 30-40代女性に最も好発に発症する子宮の良性腫瘍です。 30-50歳女性の30%はもっているといわれます。多くは複数個存在します。子宮の体部、頸部、腟部にそれぞれ発生しますが体部筋腫が90%以上を占めます。子宮筋層に発生した筋腫はその後の発育方向により漿膜下 、壁内(筋層内)、 粘膜下筋腫に分類されます。腟内への筋腫脱出もあり、筋腫分娩といわれます。部位と大きさによって症状は多彩ですが最も多く見られるのは過多月経です( 図 1 )。 筋腫はエストロゲンの作用により徐々に発育し、閉経以後縮小します。一般に筋腫の肉腫への変化は 0.1 %以下です。そしてそのほとんどは摘出後偶然発見されるのです。 |
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| 従って筋腫の存在で肉腫への変化を理由に治療法選択してはいけないとされています。ただし、明らかに子宮筋腫では説明できない腫瘤、60歳以後になって急速に増大する子宮の腫瘤がある場合は疑ってよいでしょう。子宮肉腫の 20 歳以上の婦人における頻度は10万人当たり1.7人です。1年間に 100人に1人交通事故にあい、1万人に1人なくなります。したがって、それ以下のまれな疾患ということになります。子宮筋腫があると不妊になるといわれますが実際に子宮筋腫が不妊症の主原因である確率はおそらく全体の3%程度 といわれています。筋腫があるために流産や合併症の可能性はありますが、多くの患者は偶発症無く妊娠分娩を経過します。筋腫合併患者の妊娠合併症発現頻度は10%程度です。妊娠中の子宮筋腫の90%は大きさに変化はないといわれています。子宮筋腫は頻度が高く、生殖年齢の間継続し、かつ、良性であるために治療目的とその特徴により治療選択が多彩であり、本人の現在および将来的QOL改善を目的に治療選択するのがよいでしょう。治療は症状(過多月経、貧血、消化器、尿路症状、圧迫)の程度、予測される持続(閉経までの年)、QOL障害の程度を考慮し、多くの治療から選択します。内科的治療法と 外科的治療法があります。 卵巣機能を一時的に低下させることを目的としたGnRH アゴニスト(偽閉経療法)投与、過多月経や月経痛を軽快させる低用量ピルがあります。 GnRH アゴニスト療法は強すぎると更年期症状や骨量が低下しますし、弱ければ不正出血がおこります。 6ヶ月以上継続するのは好ましくありません。また中止すると閉経でない限り3ヶ月で元の大きさに戻るといわれます。一方ピルは過多月経や月経痛を改善し、長く続けることが可能ですが、根本的治療にはなりません。外科的治療は筋腫の場所、大きさにより多くの中からの選択が可能です。子宮筋腫核出術は妊孕性温存のために選択されます。ただし、将来的に再発の可能性は残ってきます。症状の永続的解決のためにもっとも確実なのは子宮全摘術です。将来的に子宮癌回避が可能です。いずれの場合も開腹、腹腔鏡の両アプローチがあります。一方、 粘膜下 に小さな筋腫があり、月経過多が主症状の場合は、子宮鏡下手術を行います。 その他、放射線学的に子宮動脈塞栓術などが欧米で行われ、日本でも各地でおこなわれています。数日の入院ですみ、安定した方法ですが今のところ、妊娠希望の患者には向いていません。集束超音波による筋腫破砕に関しては日本でも一部で行われていますし、症状の一部改善は見られるようですが、欧米においても評価が定まっていません。 |
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| 子宮内膜症という病気は、子宮内膜様組織が本来の正常の位置つまり子宮腔内面以外の組織や臓器などに、異所性に存在し増生するために生じる病態をいいます。子宮筋層にできる子宮腺筋症 も本質的には同類といってよいでしょう。好発部位は卵巣、ダグラス窩、直腸結腸表面です。症状は初期には月経痛、性交痛、進行すると持続的下腹痛となります。病状が進行して癒着ができると不妊症の原因になる場合があります( 図 2 )。 |
![]() ▲図2 子宮内膜症の好発部位 |
| 子宮内膜症は 20代始めより発祥し、発症ピークは30代 、以後漸減します。一方、子宮腺筋症は30歳過ぎより増加、ピークは40代です。子宮内膜症、子宮腺筋症、いずれも悪性ではありなせんが、放置すると進行し、不妊症の原因となったり、QOLの障害になったりする厄介な病気です。原因ははっきりとしてはいませんが、何らかの形で女性ホルモン、環境ホルモン、ライフスタイル、多忙な仕事などの中に子宮内膜症に影響を与えている要因があると考えられています。どのように治療するかは症状の程度、診断の精度、その人の年齢、子供が今ほしいか(挙児希望の有無)、将来はほしいと思っているか、その症状がそのひとのQOL(生活の質つまり、日常生活における苦痛、仕事への影響、人間関係への影響、心理的影響など)にどの程度影響を与えているかによって異なります。また治療効果年数の設定を短期、中期、あるいは長期的な治療を希望するかによっても異なります。 治療では穏やかな方法として症状軽減のために低用量ピル、プロゲステロン製剤による排卵抑制、黄体ホルモン漸増療法、中用量ピルなどがあります。特に若年者の場合、腹腔鏡で確認するほどではないあいまいな診断の場合は低用量ピルの副効用を用いるのがもっとも有効です。 その他薬物療法としてはGnRHアゴニスト(リュープリン、ゾラデックス、スプレキュア、ナサニール)により 閉経状態(エストロゲン低下)を作って治療する方法、ダナゾール(男性ホルモン誘導体)による子宮内膜萎縮を目的とした治療があります。GnRHアゴニストは作用が弱いと不正出血、強いと更年期症状、骨塩量低下(骨粗鬆症関連)の症状が出ます。ダナゾールはうまく使えばよいですが女性にとって悩ましいにきび、肥満などの男性ホルモン作用が少し出ます。日本ではGnRHアゴニストによる薬物治療が汎用されていますが、米国ではピル(低用量、中用量)あるいはプロゲステロン製剤が対費用効果がよいとされます。 外科的治療としては腹腔鏡による病変除去が推奨されます。病変が広範囲に広がっていたり、悪性が否定できないなど微妙な場合は開腹して直視下で手術を行います。閉経年齢が近く根本的治療を目指す人は卵巣摘出、子宮摘出を行う場合もあります。子宮内膜症は悪性ではありませんが、その治療法は各種治療の中から納得した上で、選ばなければなりません。 たとえば若年で、腹腔供するほどではなく、すぐの妊娠は希望しないが将来の妊孕性確保を希望する場合、低用量ピルか鎮痛剤を用います。腹腔鏡処置までして診断がついている場合にはプロゲステロン製剤による漸増療法か周期的投与を選択します。挙児希望のある場合には妊娠を目標とした治療を優先します。子宮内膜症では不妊症になる可能性はありますが、妊娠することは軽症の子宮内膜症の最もよい治療となります。 一方、進行した子宮内膜症で腹腔鏡の手術を受けてなお病変が残ったとき、術後薬物療法を行うのがよいかすぐ不妊症の治療をするかは迷うところです。しかし、結論は出ており、追加療法としての薬物療法はメリットが少なく、すぐに不妊治療優先で治療法を設定し、人工授精、排卵誘発などの治療から体外受精などの治療まで進めてゆくのがよいとされています。 |
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| 女性特有の腫瘍には乳がん、子宮がん(子宮頸がん、子宮体がん)、卵巣がんがあります。それぞれの年度別死亡率を図に示しました( 図 3 )。 近年、乳がん死亡率は上昇、子宮がん死亡率は低下後横ばい(子宮頸がん死亡率は低下)(子宮体がん死亡率は上昇)、卵巣がん死亡率は上昇子宮がんに匹敵しているのがわかります。 予防や早期発見のために子宮頸がん検査、乳がん検査(マンモグラフィーと超音波検査 )を定期的に、出血などの症状のあるときは子宮体がん、下腹痛、腹部膨満のあるときは卵巣がんの検査(超音波検査)を受けましょう。 |
![]() ▲図3 部位別悪性新生物死亡率の年次別推移 |
| 多くの病院では良性腫瘍・初期がんについては、薬剤治療やできるだけ必要最低限に縮小した術式による手術をめざし、子宮や卵巣などの温存を心がけています。 一方、進行がんについては、根治術を中心に新しい治療法を駆使し、さまざまな方法を取り入れ組み合わせながら、集学的に治療を行います。治療法に関しては、十分な説明と患者様の同意が必要です。そのためには十分な話し合いが必要ですし、患者様の決断も必要です。その点でセカンドオピニオンをご希望されるかたもいらっしゃるかと思います。 いままでに多くの方のセカンドオピニオンを述べさせていただいています。ご希望があればご相談ください。 |
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| セカンドオピニオンとは、手術をしなければならない時、あるいは複数の治療法の中での選択を迫られた
とき、重大な決断をしなければならないときに、他の専門医にも相談し、意見を聞きたいと考えることがあると思います。そこで、あなたにとって最善と考えられる治療を、患者と主治医で判断するため、主治医以外の医師の意見を聞くこと。それがセカンドオピニオンといいます。 |
| ●子宮頸がん | ||
| 子宮頸がんは多くは扁平上皮がんに属し、一般に性生活と関係が深く、HPV(ヒトパピローマウイルス)感染と関連しています。35-50才女性に多く、子宮がんの約7割を占めます。症状は性交後出血 、あるいは不正性器出血です。しかし、それでは遅く、がんが見つかった時点で子宮をとらなければなりません。子宮頸がんについては検診に長い歴史があり、検診を受けていればがんになる10年前に前がん病変で発見が可能です。前がん病変では子宮頸部の一部切除(円錐切除)またはレーザー焼却ですみ、妊娠、分娩が可能です。 |
![]() ▲図4 子宮頸がんの発生部位 |
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| つまり子宮頸がん検診の目的はいまや発見ではなく早期に見つけて予防することにあります。日本でもやっと20歳を過ぎたら、子宮頸癌の検診をする制度になってきています。欧米では10代でも性生活が始まったら検診を開始、 20 歳では性生活に関係なく(子宮頸がんには性生活と関係のない頸部腺がんがある)検診を受けましょうとなっています。米国では18-24歳の婦人の61% が癌検診で子宮頸がんを予防 することができると思っています。米国では癌検診により子宮頸癌による死亡は死亡原因の1位から8位 に落ちました。しかし、米国といえども年配の人への啓発は進んでいません。残念なことに子宮頸癌の 25%、全癌死亡の41%が65歳以上の女性で起こっています。日本では子宮頸癌の検診率がいまだに 20%に達せず、何年も検診を受けていない人がいることはいささか心もとないですね。 子宮頸がんの治療は基本的に手術療法と放射線療法があります。基本的に両者の治療成績はほぼ同じといってよいでしょう。欧米では放射線療法のみを行っている国もあります。日本では伝統的に手術療法が得意で、ほんの少し成績がよいので手術できれば手術を選択する施設が多いですが、手術できないからといってがっかりする必要はありません。日本では0期(上皮内癌)は円錐切除術、3日入院、T・ U期は手術療法(広汎子宮全摘)または放射線療法3-4週間入院、 U〜 W 期は放射線療法、6週間入院、遠隔転移がある場合は化学療法を選択します。ただし、手術を行っても術後の病理検査結果により放射線療法追加することもあります。広汎子宮全摘術は以前は出血量も多く、輸血を必要とし、下腿浮腫や排尿障害など多くの合併症が出ていました。今は手術の改良により出血量はほとんど自己血貯血の範囲内ですむか、輸血がいらないかですし、下腿、排尿障害は少なくなってきましたなりました。一方、放射線治療は装置を膣内に入れる腔内照射と外照射と組み合わせて行います。短期的には消耗感、腹部不快感、皮膚灼熱感、中期的には血尿、血便、長期的には婁孔ができたりすることもありましたが、線量モニターが行われる最近ではあまりありません。 |
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| ●子宮頸癌ワクチン | ||
| 国内で年間約3500人の女性の死因となっている子宮頸(けい)がんを予防するワクチンが、12月21日承認されました。頸がんの大部分はヒトパピローマウイルス(HPV)の持続的が原因です。HPV特別な人が感染するのではなく、性交渉の経験のある人なら誰でもHPVに感染する可能性があります。今回認可されたワクチンでは感染前の接種によって、頸がんの原因の約7割を占めるHPVの感染予防が期待できます。女性にとっては朗報です。子宮頸癌は30代後半から40代に多いですが、最近は感染原因である性交渉の低年齢化などが影響し、20〜30代の若い患者が増えています。 |
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| 子宮頸癌はワクチンによる予防手段があるため「予防できる唯一のがん」といわれ、有効性は10〜20年継続するとされています。かりに12歳の女児全員が接種すれば、頸癌にかかる人を73・1%減らせる。死亡者も73・2%減ると推計されます。製品としては、今回、承認された英系製薬会社、グラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」と、米製薬会社、メルク社の「ガーダシル」(承認申請中)の2種類があります。 | ||
| 投与年齢については多くの国では12歳を中心に9〜14歳で接種が開始され、学校や医療機関で公費助成で接種が行われています。26歳までの女性が対象ですが、それ以降の年齢でも有効とされています。 ただ、若年投与の場合、思春期を迎える女児が女性の成長と健康について、きちんと理解できるような配慮が求められると思われます。 なお検診を受けたからといって定期健診がいらないわけではありません。引き続きかかりつけの先生で検診を受けてください。 投与は3回、当月、1ヵ月後、6ヵ月後です。 接種希望の方はあらかじめ事前説明をいたしますので、予約して御来院ください。 |
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